禹代表の本

 日韓アジア基金の創設者、禹守根さんが「韓国人ウ君の『日韓の壁』ってなんだろう」というタイトルで、2冊目の日本語の本を出版しました。(講談社・1400円)
「僕は骨の髄までアジア人です。・・・でも若いあなた方にはアジア人にとどまってほしくない。世界人になって下さい。それも、アジアを愛する世界人に」この本を流れる禹さんのメッセージです。このメッセージを一歩でも実現するために、禹さんは日韓アジア基金を設立し、国際弁護士になるために今又アメリカに留学しているのです。
  この本は、日韓アジア基金を立ち上げ、その活動の第一歩として、カンボジアの子どもたちに学ぶ機会を与える「アジア未来学校」を作った禹さんとその仲間の汗と涙と喜びの歩みを縦糸に、8年余りの日本での生活の中で感じた日韓両国民の文化や考え方の違いについての見解を織り込んだエッセイです。折にふれて繰り返される歴史をめぐる両国民の反目を、どうすれば乗り越えて行けるのか、禹さんは様々な例を挙げながら解決への手がかりを示唆しています。「正義」というのは厄介なもので、当事者は常に「正義は我にあり」と考えます。しかしお互いが自分の「正義」を振りかざしていては結局何も解決しないどころか、恐ろしい結末になるのは最近のイラク問題でも明らかです。
  禹さんが示唆するように、お互いの視点を入れ替えて相手の立場に立って考えてみる時、「正義」は相対的なものとなるでしょう。簡単なようで至難のこの作業が出来るためには、互いの文化や考え方の違いをよく認識することがまず必要です。
 数十年前、初めてヨーロッパに旅して、とある街角で日本語で話しかけられた時、私は妙にうれしい気持ちになりました。十年ほど前、ソウルの町の食堂で、70歳代の老人からやはり日本語で話しかけられた時には、なんとも複雑な気分に襲われました。こんな日本人である私にとって、禹さんのような若い韓国人の登場は、未来に希望を抱かせてくれます。願わくば、この本が一人でも多くの日本人に読まれ(沢山売れて)、印税が入り、少しは禹さんの夢の実現に役立てばと思っています。
                                              ( 推薦者:荒川雄彦 )                                           
                                                               概要へ戻る