懇話会 「日本で活動するアジア人の発言」
 923() アジア文化会館にて
 9月23日、総会に続いて懇話会「日本で活動するアジア人の発言」を開催しました。韓国、中国、カンボジアから3名の講師をお招きして、日本で活動することで見えてきた日本の姿、自国の姿について講演していただきました。
そして、韓国、中国、モンゴルからの留学生を含めた参加者全員が、テーブルごとに分かれて異なる文化の中での協働活動について話し合いました。

紙面の都合上、3名の講師の講演をすべて記載する
ことができず残念ですが、講演内容の一部を紹介します。                                                      
「互いの違いを認めあいながら関心を持って友情を育てよう」             
           朴 昌鎬(パク チャンホ)氏:韓国人・サムスン生命保険会社所属 短期駐在中
日本は我々韓国人にとって、一番近い隣国であるが、文禄の役や植民地などの不幸な歴史のため、日本に対するイメージは必ずしもよくはない。
私は日本に来て、韓国、日本を見つめなおした結果、これまでに気がつかなかった文化の違いに気がついた。たとえば鍋料理を食べるときに、日本人は自分の分を器にとって食べるが、韓国人は自分の箸やスプーンで鍋からじかに食べる。日本人は韓国式を非衛生的と感じるだろうが、韓国人は日本式を情がないと感じる。その他、ストレートに感情を表現する韓国人に対して、日本人はあいまいな表現が多い。このように文化に違いが見られるが、どちらかが悪いのではない。違いをたがいに知り、認めることが必要だ。
 韓国人は過去の歴史について日本を非難するが、それは日本に愛情がある証拠ではないだろうか。反対に日本は韓国に対して無関心だったと思う。愛情の反対は憎しみではなく無関心だと思う。不幸の歴史を繰り返さないためにも、関心を持ってお互いを理解ようとすることで友情を育てることが大切だと思う。

「私が見た日本」

      王 嶺 (オウ レイ)氏:中国人 男性 東京大学法学部4年 在日4年

私が見た日本について述べたい。
まず、日本はとても豊かな国だと思う。電化製品の質や食材も世界のトップクラスである。物価は高いが、高収入であるからだといえるだろう。このような恵まれた環境にある中で、日本の若者に自信がないように感じる。戦争の歴史を学んでいるうちに自らのアイデンティティに対するコンプレックスを覚えたのではないかとも思うし、近年の経済不況も影響しているかと思う。それに対して、日本のシニアは元気だと思う。60歳を過ぎても何かしらの仕事や活動に取り組んでいる人が多いが、中国では還暦を過ぎたら老人になって休み始める人が圧倒的に多い。日本の壮年の人々は、とても急いでいる印象を受ける。
 日本の社会文化について、まず、日本社会は安全で安定したよい社会だといえると思う。一方で高齢化・晩婚化・少子化の進行がかなり早い社会だと思う。また、日本はまさに文化大国といえる。漫画やアニメは中国にも輸入されているし、出版業界も発達しており、書籍の出版数はとても多く質も高い。ただ、テレビや新聞などのメディアには重複報道や偏重報道が多く、好感をもてない。私が見た日本を、まとめるような言葉はいらないと思う。様々な複雑な感触と感情をまとめることはなかなか難しいので、私の意見を皆さんに聞いていただいて、日本を考えるときの参考にしてほしい。

「日本の支援に感謝しつつ、カンボジア人も努力したい」

             リム ソピア氏:カンボジア人 女性 看護師 在日22年

 カンボジアでは、人口の95%が農業に従事している。稲作中心の農業で自給自足を旨としている。現在は平和になったが、農業生産が不安定で、都市の工業労働者との貧富の差が拡大している。その点、日本は発展が目覚しく、うらやましい。日本で印象に残っているのは、日本の結婚式である。カンボジアでは式や披露宴に歌や踊りが入り、夜遅くまで延々と続くのだが、日本ではすぐ終わる印象である。 料理に関しては、日本の料理はしょうゆ味が多く、薄味で健康的。カンボジアはナンプラーや香辛料を多用した濃い味の料理が多い。 カンボジアと日本の関係では、技術移転や地雷撤去など日本から多くの支援を受けていることに感謝している。国民が安定した生活を送れるようになることが大切であるが、それには日本からの支援を待つだけでなく、カンボジア人も努力する必要があるだろう。カンボジアと日本がよりよい関係をどのように築くか、今後の私の課題としたい。 当日は、参加者がテーブルの上のお菓子やアジアのお茶を忘れてしまうほど、講師の方々の講演に熱心に聞き入っている姿が印象的でした。また、テーブルごとの討論も大変盛り上がり、時間が足りないと感じている人も多かったようです。
3名の講師の皆さん、懇話会に参加してくださった皆さん、ありがとうございました。

         

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