「もし、選挙に参加できたら、誰に投票する?」と聞いてみると、自信を持って「日本政府!」と答えてくれたダラ君。ここでは、彼を主人公に、未来学校の子どもたちがどんな暮らしをしているのかを紹介したいと思います。
 アンロンコン村の住民は、元々、いわゆるスラム街に暮らし、貧しい暮らしをしていましたが、火事により住民は家だけでなくわずかの財産も失うこととなりました。アンロンコン村へ移り、彼らは新たに生活を始めた訳ですが、やはり教育費を捻出することが難しく、多くの子どもたちが学校へ通えない状況におかれています。






 現在未来学校の午後クラスに通うダラ君も、そんな子どもの1人です。ダラ君は現在9歳。家族は、お父さん、お母さん、お姉さん2人、弟2人という5人家族です。ダラ君のお父さんは、アンロンコン村にはほとんどおらず、市内中心部に住む親戚の家で娘2人と暮らし、シクロ運転手の仕事をして家計を支えています。
 ダラ君のお母さんは言います。「うちの子どもは皆勉強が好きで、私もできるだけ長い間学校へ行けるようにと願っています。それでも、それができるかどうかは今の私たちの状況ではわかりません。」 アンロンコン村へ来る以前にも、経済的理由から学校へ通ったことはなく、未来学校が初めての学校になります。

 ダラ君は勉強が大好きです。授業ではいつも手を上げて先生の質問に答えるなど、とにかく積極的。その積極性もあって、今では未来学校での成績も上々です。勉強だけでなく絵を描くことも大好きで、4月末に行われた絵の授業では、午前と午後の両方のクラスに参加するなど、とにかく学校にいるのが楽しくてたまらないといった様子です
 授業がないときも、川で魚やカニを捕ったり、友だちとボール遊びをしたりと元気いっぱい。私が学校から帰るときも、いつも元気よく手を振って見送ってくれます。
 ダラ君の将来の夢は、警察官かパイロットになること。その夢にちょっとでも近付けるよう、私も一生懸命応援していきたいと思います。




追記:
6月の始め、ダラ君が犬に噛まれるという事件が起こりました。ボール遊びをしていて、ボールを追いかけて近所の家に入ったところ、その家にいた犬に噛まれたというのです。
足が腫れ、体調が優れないということで、私もお父さん、お母さんと一緒にダラ君を連れて病院へかけつけました。たった数ドルの治療費でも、家計にかかる負担は計りしれず、これは日韓アジア基金の緊急支援金から援助させていただくこととしました。
結果、破傷風、狂犬病のワクチン注射を受けることができ、大事には至らずに済んだと両親も大変感謝しています。学校も2週間ほど休んだだけで、今ではまた元気で学校に戻ってきてくれました。






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